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戦後日本でもプラスチックが製造されるようなった当初は、「万能」に近いものがあるように思われていたのは「塩ビ」と呼ばれている塩化ビニル樹脂です。塩化ビニル樹脂はとても硬いプラスチックで、加熱し可塑剤などの副資材を加えると、その種類や比率によって常温で非常に柔らかいものから硬いものまで、色々な製品を作りことが出来ます。
塩化ビニル樹脂は1948年頃から市場に出回るようになりました。新しい素材で、高価なものでした。ビニルの風呂敷・カラフルなバンド・レインコート・ハンドバックなど大変人気がありました。当初はアメリカから軟質塩化ビニル樹脂のスクラップを輸入し再生して使用してましたが、すぐに原料が輸入されるようになりました。
国産塩化ビニル樹脂は、50年から生産され年間1500トンだったものが、57年には11.8万トンにに増えました。日本でポリエチレンの生産が始まったのは58年ですから、この10年間熱可塑性プラスチックは塩化ビニル樹脂だけでした。その優れた特性から、あらゆる製品が作られたのです。「ビニル」がプラスチックの代名詞になった時代です。
パイプやシート、ボトルは硬い製品ですし、フィルム、ラップフィルム、合成レザー、床材、ホースなどは可塑剤の多い軟らかい製品です。また、無機物(岩石を細かく砕いた粉末)を加えてタイルにすることもできますし、電線にもほとんどが絶縁性に優れた塩化ビニル樹脂の被覆材が使われています。また、このように製造されたレザーやフィルムなどの加工製品も優れていて、衣類、ハンドバック、靴、自動車の内装、レインコート、輸液バッグなど、現在でも色々あります。
しかし、塩化ビニル樹脂にも欠点があります。耐熱温度が低かったり、油に弱かったりします。そうして57年のポリスチレンの国産化、58年のポリエチレン、62年のポロプロピレンというふうに新しいプラスチックが次々に生産されはじめ、性能や経済性に優れた分野では塩化ビニル樹脂にとってかわっていくのです。
フィルムに加工しやすいもの、熱湯の中でさらに加熱しても平気なもの、ビール箱を作れるもの、魚箱をつくれるもの・・・・と新しい用途に対応するために新しいプラスチックが生まれ、さらに工業のハイテク化が進むにつれて活躍の場が広がりました。優れた性能を求めて発明、用途開発をしているうちに約100種類にも及ぶプラスチックができたのです。
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