プラスチックも石油に戻せれば・・・
プラスチックのリサイクルで石油に戻す方法が話題になっています。これは廃プラスチックを釜に入れ、空気を絶って約400℃に過熱すると分解して燃料に適した油が得られるというものです。これを熱分解による油化といっています。プラスチックは石油【厳密には石油を精製して得られるナフサ】から作られていますので、元の石油に戻すとも、還元とも言われたりします。 でも、どんなプラスチックでも石油に戻すことができるのでしょうか。家庭から排出されるプラスチックの包装容器を例にしてみましょう。

ポリ袋のポリエチレン、トイレタリー容器のポリプロピレン、調味料入れや発泡スチロースによるポリスチレンなどは石油に戻ります。これらの合成樹脂は石油だけからつくられていて、石油と同じように、炭素と水素だけから出来ているので、熱分解すると石油と同様の炭化水素油に戻るのです。               卵パックの塩化ビニル樹脂、ペットボトルのポリエチレンテレフタレート(PET)は、少ししか石油に戻りません。これらの合成樹脂は、様々な用途に対応するために石油成分のほかに塩素や酸素を化学的に取り入れて作ってあるので、熱分解しても炭素と水素だけに戻れないのです。

家庭などから分別収集されたものは、これらのプラスチックが混じっています。また金属や汚れなども混じっています。その為油化設備には異物の分別装置、塩素化水素の除去設備や残りかすの排出装置が設けられています。それでも、これらの不敵物が少ない方が処理費用も少なく、良質の燃料油が得られます。したがって、廃プラスチックを油化する場合にはそれに適するプラスチックを集めるように、分別の精度をあげることが重要です。

塩化ビニル樹脂 

石油と塩素からからつくられています。これは炭素、水素、塩素から出来ていて、その内塩素が半分以上を占めています。熱分解すると塩化水素ガスを発生して、炭素を成分とする黒い固体が残り、生成する油分はわずかです。

PET樹脂 

炭素、水素、酸素から出来ていますが、熱分解すると、油に溶けないテレフタル酸という結晶の固体が出来てしますのです。これは装置の配管を詰めたりするトラブルも起こします。